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脳の病気が性格まで変えてしまう!?その原因と周囲の対処法

   

脳の病気が性格まで変えてしまう!?その原因と周囲の対処法

いつも一緒に暮らしている家族や身近な人が、以前より怒りやすくなったり、仕事上のミスが多くなったりしたことはありませんか。

そのような状態になるには、その人なりの背景があると思いますが、もしかしたら、その変化の原因は、脳の病気が関係しているかもしれません。

性格までが変わってしまう脳の病気とは、どのようなものがあるのでしょうか。

そして、その病気によって性格が変わった家族や身近な人を、周りの人々はどのように支援していけばよいのでしょうか。

そこで今回は、性格が変わってしまう脳の病気と、その当事者への支援について理解を深めたいと思います。

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脳の病気で性格が変わる原因は2つ

主な原因は、以下の2つです。

高次脳機能障害

脳の損傷を受けた後、普通の生活に戻っても、その機能のうち記憶・理解・計算・言語・判断・情緒等の「認知機能」に障害が残る状態です。

一見異常を感じさせませんが、会話が上手くできなくなる、新しいことが覚えられなくなる、怒りっぽくなる、集中できなくなるなど、社会生活に支障をきたすようになります。

本人もその症状に気づかない場合があり、他人から「人が変わった」とか「怠け者になった」と思われるなど、この障害は十分に理解されにくいものとされています。

具体的な症状は以下の通りです。

  1. 記憶障害
  2. 日にちが分からない、物をどこに置いたか忘れてしまう、新しいことが覚えられない、自分がやったことを忘れてしまうなど。

    同じ質問を繰り返したりすることがある。

  3. 注意障害
  4. 注意力や集中力が大幅に低下する。

    ミスが多くなる、複数のことを同時にやると混乱してしまう。

    また、周りが気になり気が散ることがあるかと思うと、一方で、周りのことに気づけなくなる。

  5. 遂行機能障害
  6. 筋道を立てて考えたり、計画を立てる、問題を解決することができなくなる。

    計画に従わず、思いつきで物事を進めてしまう。

  7. 社会的行動障害
  8. その場に応じた行動や感情がコントロールできない。

    怒りっぽい、食欲がコントロールできない、浪費癖がひどくなる、人間関係がうまくつくれない。

  9. 病気だと認識ができない
  10. 自分に障害があると言うことが分からない。

    障害があることを否定する。

    症状が軽い時は、逆に障害を訴えることがある。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患から、神経細胞・神経線維が壊れて発症する認知症です。

徐々に進行するパーキンソン病と異なり、階段状に悪くなる傾向があります。

歩行・嚥下・発語障害、元気・意欲低下の抑うつ状態や、さらに、場にそぐわない泣き笑いが出る場合もあります。

脳の病気で性格が変わった人の家族談

脳梗塞を患った後、母の性格が変わったように思います。

元の性格は変わっていないのでしょうが、怒りやすい、泣き上戸など喜怒哀楽といった感情の起伏が激しくなったような気がします。

テレビのドラマを観たり、少し悲しいことがあればすぐに泣く程度なら良いのですが、一旦怒り出すと手に負えなくなります。

普通に会話していたのに、ちょっと気に入らなくなると途端に怒り出す、というかずっとすね続けます。

特に、自分が脳梗塞の後遺症は無いと信じているので、必要以上に気を遣ったり、世話をしようとしたりすると、年寄り扱いされていると思い、怒ったりすねたりするのです。

すねるのは、まだ良いです。

人によっては、どなり散らしたり、物を壊したりする場合があるようですから。

ただ、母の喜怒哀楽の様子を見ていると、怒っている状態の方が、そうでない時より長いような気がします。

脳の病気は性格をどのように変えてしまうのか

脳卒中の後遺症として発症した高次脳機能障害は、以前とは人格が大きく変化してしまう事例も多いです。

脳梗塞の後、性格が変化する原因となるものに感情障害があります。

脳梗塞になるとうつ病のような症状が出る場合があります。

記憶力や思考力、また適応能力が極端に弱くなってしまうため、他人と接触することを避けるようになり、それがまた感情表現を乏しくさせることになるのです。

また、これまでたまにしか怒鳴らなかったのに、いつもいらいらしていてひどく怒りっぽくなることも。

他人のことを思いやらない自分勝手な言動が目立つようになり、性格が以前と全く変わってしまったと思われることがあるようです。

この変化は、自分自身でもコントロールすることが難しく、周りの人たちにもなかなか理解されないため、さらに内へ内へと引きこもりを加速させてしまうのです。

性格の変化は、この脳の病気かも

脳の血管障害を含め、他にも性格を変えてしまう病気をご紹介します。

慢性硬膜下血腫

頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜と脳の間に、徐々に血が溜まり血腫になったもの。

50〜60歳以上の中高齢者に多い。

頭部強打など、きっかけとなる外傷を受けても、そのすぐ後は症状がなかったり、頭痛程度にしか感じられなかったりするため、病院に行かないケースが多い。

その後、3週間から数ヶ月かけて血腫が作られ、頭蓋骨内圧が高まり、頭痛や吐き気・嘔吐が出る。

初期症状として半身麻痺、言語障害などが出る場合もある。

軽度なら元気がない、ぼけ症状が出るなど意識障害が現れることがある。

手術をすれば社会復帰できるが、片側の麻痺や言語障害・認知症などの後遺症が残る場合がある。

脳腫瘍

頭蓋骨の中にできる腫瘍。

直接脳にできる腫瘍(原発性脳腫瘍)の発生率は、10万人に10〜15人程度。

悪性脳腫瘍は周りに根を生やすように大きくなり、良性の場合は周りの脳とはある境界をもちながら少しずつ周りを圧迫しながら大きくなる。

一般的には、早朝に強い頭痛がある。

次第に、吐き気、嘔吐、目のぼやけなどがあらわれ、さらに意識が低下する場合がある。

その他、感覚や言語の障害、視野の一部欠損、性格変化、乳汁分泌・不妊症などの内分泌障害がある。

肝性脳症

肝硬変などによる肝機能不全から、急性、間欠性、あるいは慢性に発症する。

原因は、肝不全因子とアンモニアによるものと考えられており、脳内の神経伝達障害や機能障害などが考えられている。

昏睡前の症状は、多幸気分、異常行動、せん妄などがあらわれ、次第に見当識障害、言語障害も加わり、昏睡状態に入る。

うつ病

何らかの強いストレスによって引き起こされる精神障害。

精神面での症状としては、抑うつ気分、興味・喜びを感じなくなる、強い焦燥感、思考力・集中力の低下、意欲の低下、自責感、希死念慮(死んだ方がまし)、精神病症状などがあわらわれる。

脳の病気で性格が変わった人との関わり方

脳の病気による家族の性格の変化に直面すると、戸惑ったり、悲しんだり、途方に暮れてしまったりしますが、大事なのはそれをすべて1人だけで抱え込まないことです。

確かに支える側も大変ですが、何より本人が戸惑い、傷つき、悲しみに打ちひしがれています。

そんな自分を自己コントロールできないことで、辛い思いに苛まされているのです。

本人にとって、家族こそが最も身近な支援者であり、その家族が常に心身共に健康であることは、本人が良い状態でいられる最善の環境です。

では、そんな当事者に対し、周りの者はどのように接し、支えていけば良いのでしょうか。

高次脳機能障害の場合

主な症状としては、新しいことが覚えられないなどの記憶障害、ぼんやりしていてミスが多いなどの注意障害、人に指示してもらわないと何もできないなどの遂行障害、興奮する、暴力を振るうなどの社会的行動障害などがあります。

これらの症状への家族の接し方について、高次脳機能障害情報・支援センターでは、次のようにアドバイスをしています。

  1. 前にできたことができなくなり、苛つくことが多い。
  2. どのような場面で苛つくかメモを取り、そこから現在の能力でできるように工夫したり、現在の能力でできることに目を向けさせたりするための情報を得るようにする。

  3. 暴れたり、怒ったりしたとき。
  4. 怒り出したら話題を変えたり場面を変えたりする。

    その場から離す。落ち着いたら、自分がとった行動について一緒に話し合う。(怒り出す原因やきっかけが分かることが多い)

  5. 忘れっぽくなった。
  6. 記憶を補う方法としてメモの活用ができるように練習させる。

    よく使う物は、目につきやすい決まった場所に置く。

  7. 外へ出たがらず、何もしたがらない。
  8. 自発的に何かができない人には、するべきことを具体的に示してやることが必要。

    能力に合った活動内容を1日のスケジュールとして組み、表にして見やすいところに張り、ひとつひとつ課題をこなしていくという方法で規則正しい生活リズムを作る。

    実際の対応は大変ですが、まずは一つ一つの行動を肯定的に受け止めましょう。

    そして、その言動をすぐに直させようとせず、本人の気持ちと現在の能力に合わせて、じっくり寄り添う姿勢が回復に繋がるのです。

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