小児の治療におけるステロイド内服の安全性と気をつけたい副作用
ステロイドというと、大人でも飲むことに対して不安を持つ人がいますが、子供に内服させるのも出来ればさせたくないと思う親もいるようです。
副作用はもちろん恐いですが、適切な治療を受けられないことで悪化することも恐いのです。
そこで今回は、ステロイド内服の安全性と知っておきたい副作用について正しい知識を持ってもらえるようにお伝えします。
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目次
小児がステロイドを内服するときに期待される効果
ステロイドは本来、私たちの身体にも存在するものです。副腎というところから、副腎皮質ホルモンが生成されて体内に放出されています。
副腎皮質ホルモンの中に糖質コルチコイドというホルモンがあり、これが抗炎症作用を強く持っていることが分かり、科学的に合成されたものなどで治療が行われるようになりました。
そんなステロイドの薬ですが、は、抗炎症作用、免疫抑制、アレルギー反応の抑制の3つの効果があります。このような効果が期待されるため、様々な疾患に対してステロイド薬が処方されます。
例えば、ステロイドの効果が期待されているのは、気管支喘息や膠原病、アトピー性皮膚炎、副腎不全など幅広い疾患に対してです。
小児の場合でステロイド内服の多くは、小児喘息や重度のアトピー治療に使われています。ステロイドは非常に強いお薬なので、効果は高いのですが、その分副作用の出やすいお薬でもあるので、医師の指導のもと適切に使用することが大切です。
ステロイド内服から吸入へ移行していった小児喘息治療の変化
小児喘息のステロイド内服
喘息の治療というと、ステロイド薬を使うことがほとんどです。一昔前までは、ステロイドを内服することで、症状の緩和や予防を行ってきました。
しかし、ステロイド薬は非常に強い作用をもたらし効果的なのですが、その一方で、長期的な服用で小児の成長を妨げてしまうような重大な副作用も持ち合わせていました。
効果はあるけれど、副作用が強い分、医師も処方には慎重になっていたようです。そんな過去がありつつ、現在の喘息治療では、ステロイドの吸入がメインになってきました。
もちろん、症状がひどい場合や医師が判断したときには、内服薬が選択されますが、同じステロイドでも、吸入の場合、局所的に薬剤が効果を発揮し、すぐに肝臓で分解されるため、副作用のリスクが低く安心して使えるようになりました。
吸入は毎日長期的に使い続けることで発作の予防や気管支の炎症を抑えて快適に生活できるように治療していきます。
小児がステロイドを内服するときに気をつけたい副作用
ステロイドを内服すると、効果は抜群ですが、その分、副作用も重くなります。他の薬は長期的に使用しても副作用の出現率はさほど変わりはありませんが、ステロイドは違います。
ステロイドを長期間に渡って一定の量を投与にすることによって必ず副作用が出現します。出現しやすいと聞くと、ステロイドは恐いと思ってしまいがちですが、しっかり医師の指示の下、服薬すればそれほど恐いものでもありません。
副作用として出やすいのは、
- 肥満
- 血糖値上昇
- 易感染状態
- 多毛
- 骨粗鬆症
- 胃痛
- 吐き気
- 満月様顔貌
- 高血圧
- 低身長
- 眼圧上昇
などが出やすいと言われています。
ステロイドは大人も服用すれば、副作用が懸念されます。副作用も同じで注意することも同じですが、大人と1つ違うのは、小児の場合、成長過程にあり、低身長の症状に注意してみていく必要があるでしょう。
小児がステロイドを内服して副作用を起こしたエピソード
長期間、ステロイドを内服したAくんは、副作用である低身長に悩まされました。その当時の話をまとめました。
Aくんは、5歳のときに、アレルギー性鼻炎になり、耳鼻咽喉科からステロイドの内服薬を処方されました。
ステロイドのお薬を服用後、鼻炎の症状は軽快したのですが、母親はアレルギーを改善出来るならとステロイドの薬を朝・晩の2回、毎日内服させました。
服用前の身長は、平均的だったのですが、小学生に入ったころから急に身長が伸び悩み、小学2年生になったころからクラスで1番低くなってしまいました。
母親は、そのうち伸びるだろうと様子を見ていましたが、その後も16㎝しか伸びず、小6で126㎝、40㎏と8歳児の平均身長しかなかったのです。
学校で小児科を受診するように言われ、受診したところ医師からは、鼻炎の薬による副作用と驚きの診断を受けました。
鼻炎の薬は、成長ホルモンを阻害するので、骨が折れやすくなったり、骨粗鬆症などのトラブルをおこしやすいのです。
Aくんは診断を受けてから鼻炎薬の内服は中止し、中学生になりようやく2歳下の妹の身長にあと2㎝というところまで伸びが回復してきました。
小児にステロイドを使うのが恐いと思っている親たちへアドバイス
ステロイドの内服は副作用がでるので、あまり使いたくないという人もいるでしょう。また、自分が親の立場で子供に使わなくてはいけないときに、使うのに抵抗があるという親も少なくないのです。
しかし、ステロイドは使い方さえ間違えなければ、恐くないお薬ですし、有能なお薬です。心配している親のみなさんい2人の看護師からのアドバイスをご紹介します。
A看護師からのアドバイス
小児科では、ステロイド剤が出ることは日常的ですし、医師の指示通りにきちんと服用していけば何も問題はありません。また、ステロイドの内服だけでなく塗り薬もよく処方されますがこちらも問題はありません。
塗り薬の場合には、皮膚疾患に対して処方されているので、3日程度で効果がなければ、皮膚科へ受診するように促しています。
B看護師からのアドバイス
ステロイドは正しい使い方をすれば問題はありません。子供も大人も関係なく、ステロイドが必要な症状には処方がされます。
副作用が気になるかもしれませんが、病院で先生がきちんと診断をして処方されているので安心して服用してください。