牛乳でカルシウムや鉄分を効果的に摂取する方法
牛乳にはさまざまな種類があります。目的に応じて選べばカルシウムはもちろん普通の牛乳では摂りにくい鉄も簡単に摂れます。
牛乳の種類とそれぞれの特徴、また、目的別にどのような牛乳がおすすめなのか調べてみました。
日本人には牛乳に苦手意識を持っている方が多いようですので、その理由についても調べてみました。
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目次
牛乳の栄養素はカルシウムや鉄分以外にもいろいろある!
牛乳には加工の有無や内容などにより、いくつかの種類に分けられることが法律により定められています。
「牛乳」「成分調整乳」「加工乳」「乳飲料」などに分かれます。
その中でも、牛乳とは、搾ったままの乳を加熱殺菌したものでです。
200mlの成分としては、エネルギー:138kcal、水分:180.4g、タンパク質:6.8g、脂質:7.8g、炭水化物:9.9g、飽和脂肪酸:4.81g、不飽和脂肪酸:2.05g、コレステロール:25mg、灰分:1.4g、カリウム:310mg、カルシウム:227mg、リン:192mg、ナトリウム:85mg、マグネシウム:21mg、亜鉛:0.8mg、鉄分:0.04mg、銅:0.02mg、ビタミン類となっています(2010年日本食品標準成分表より)。
特に、牛乳のカルシウムは含有量が多いだけでなく、牛乳に含まれている乳糖やカゼインなどの働きにより吸収されやすくなっています。
しかし、鉄分は通常の牛乳にはそれほど多くは含まれていませんので、鉄分の補給を目的とする場合には、鉄分を添加したミルク(分類では乳飲料)を摂るようにしてください。
カルシウムや鉄分以外の牛乳の健康への効果!
牛乳には栄養素以外にも優れた効果のある物質が含まれています。
- 免疫系の調節:牛乳に含まれているカゼインや消化されて生じるカゼインホスホペプチド(CPP)には、抗体の生産を促進する働きがあります。またカゼイノグリコペプチド(CGP)は、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの放出を抑制する働きがあります。
- 感染予防:牛乳に含まれている生理機能物質には、細菌の細胞膜を破壊したり、細菌の増殖を防いだり、感染をブロックしたりする効果があります。
- 整腸作用:牛乳に含まれる乳糖は、腸のぜん動運動を高めることで便秘を防ぎ、また、便を柔らかくする働きがあります。
しかし、日本人には乳糖を分解できない人がいますので、乳糖を分解した形のものを添加したミルクも販売されています。
- 高血圧の改善:牛乳に含まれているカゼインが消化されてできるペプチドのにより、血圧を高くする酵素の働きを抑えることが最近の研究で明らかになってきています。
- 睡眠の改善:牛乳に含まれている必須アミノ酸のトリプトファンが睡眠に関係しているとされていますので、毎日牛乳を飲む習慣が睡眠の改善に効果があるとされています。
牛乳を加工してカルシウムや鉄分を増やしたミルク!
牛乳を加工して牛乳以外の成分を添加すると乳飲料という分類になります。
これには、さまざまな健康に良い成分を添加したものがあります。なお、加工乳や乳飲料は「牛乳」という表示はできませんので、「ミルク」などの名称になっているものが多いようです。
- カルシウムとビタミンDを添加したもの:通常の牛乳よりカルシウムを多くし、さらにカルシウムの吸収に効果のあるビタミンDを添加したもの。200mlで1日分のカルシウムを摂れる商品もあります。
- 鉄分とカルシウムなどを添加したもの:鉄分を摂りやすいようにしたもので、カルシウムとビタミンD、また鉄分の吸収が良くなるようにビタミンB12や葉酸を添加しています。
200mlで鉄分、カルシウム、ビタミンD,ビタミンB12、葉酸の1日分が摂れる商品もあります。
- 乳糖を一部分解したもの:日本人には、乳糖を分解する酵素が少ない人が多いとされていて、乳糖が含まれている牛乳を飲むと下痢気味になると言われています。このような方でも牛乳が飲めるように乳糖の大半を分解したものです。なお、乳糖は腸のぜん動運動を高め、便秘を防ぐ働きがあります。
- コーヒーやココア、フルーツなどを加えた飲料:昔から定番のコーヒーミルク。最近ではさまざまな種類の乳飲料が楽しめます。
牛乳を乳児にも飲ませたい!でもいつからOK?
乳児にも牛乳を飲ませるにあたって、アレルギーを誘発する、鉄欠乏製貧血を引き起こす、栄養のバランスが崩れるといった危険性が指摘され、子供に牛乳を飲ませてよいのか心配される方も多くいらっしゃいます。
まず、基本的な考え方としては、牛乳は牛の赤ちゃんのものです。ですので、栄養価やバランスは人間の子供用とは異なります。
もし、牛乳を飲ませることで、母乳や粉ミルクの量が減るのであれば、乳児への栄養バランスという面では大問題といえます。
次にアレルギーを誘発するという点については、乳児はまだ内臓の機能が不十分ですので、そのような時に牛乳を与えるとアレルギーになってしまう可能性があるとされています。
それと、鉄欠乏製貧血は、牛乳に含まれている鉄分の量が少なく吸収率も高くありませんので、牛乳を飲むことで他の食物を摂らないといった場合、鉄分が不足してしまうことなどにより起こる貧血です。
それと赤ちゃんに牛乳を与えることは、必須ではありません。離乳食を作る際に牛乳を使うといった考え方で良いと思います。
参考までに、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では、「1歳以降に牛乳を与えるのが望ましい」とされています。
乳児期や幼児期の子供は、牛乳貧血に注意!
牛乳貧血とは、長期間にわたって牛乳を大量に摂取することにより、鉄分が不足して鉄欠乏性貧血を起こすことをいいます。
牛乳というのは、栄養豊富な食品というイメージが強いので、子供が牛乳さえ飲んでいれば親も安心といった風潮があります。
しかし、牛乳というのは思ったより鉄分が少ないのです。また、吸収率もよくないのです。ですので、牛乳を飲んでお腹いっぱいになり、他の食材を食べなければ鉄欠乏製貧血になる可能性はあるのです。
また、生後6ヶ月頃からというのは、成長時期との関係で鉄分が不足がちになるそうですので、注意してください。
貧血の症状としては、顔色が白っぽい、疲れやすい、唇が白いなどが上げられます。簡単なチェック方法としては、瞼の下を少し下げ、結膜の色を見てください。少し白っぽいなと感じたら貧血かも知れません。
乳児の場合、母乳に含まれている鉄分もそれほど多くありませんので、離乳食などから鉄分を摂ることが必要になります。